形状記憶・形態安定

形状記憶加工と形態安定加工③  ちょっとクレームがつきました(2)

5日前からブログを再び書き始めまして、他の人が書いているカーテン関係のブログもいろいろと拝見させていただいています。私は3年前の9月29日に苦肉の策で始めたのですが、当時はブログ人口が100万人といわれていて、「ブログ」というものを説明するのもたいへんだったのです。


それがあっという間に広がり、カーテン関係のブログだけでもいっぱいあるのです。ひとつにはホームページを検索で、上位に表示してもらうためのSEO対策にいいといわれているので誰もが書くようになりました。


なかなかいいブログもたくさんありますが、どちらかというとソフト系で施工写真の羅列とかコーディネートのポイントとかが多いのです。私もソフト系も書けるのですが、「現場を知っていて、メーカーにも文句が言える立場でキーボードが打てる者」として、ハード面からユーザーに役にたつ情報を提供していきたいと思っています。


先日、夙川店のライバルになるお店の社長とある展示会で初めてお会いしたときのことです。
私に会いたかったとおしゃるのです。ブログでいつも勉強させてもらっているとうまいこと持ち上げて、


「社長の言っていることは正論や。もっとメーカーに言ってくださいや」


(私はスリランカかよ?あなたもユーラシア<言うらし~や>)


と おっしゃるのです。同業者が私のブログをみて勉強になるといっていただいたのはうれしい限りです。


いろんな掲示板にも勉強になると書いていただいているんです。
「カーテンには如何ほどの予算」という掲示板のNo76とかNo111にも形状記憶のことで参考にしていただいていることが書かれていました。
昨日の『形状記憶加工と形態安定加工②』のブログにも勉強になるというコメントをいただいています。私のブログはコメントが少ないので、読んでいただいている方がどのように感じていただいているのかわからないのです。どんなことでもいいのでコメントをいただけるのがうれしいです。それが活力になります。


けっこうプレッシャーになっているんですが、この方向でがんばって情報発信をしていきたいとおもっています。


昨日書いた『形状記憶加工と形態安定加工②』の続きです。


サザンサザンクロス(五洋インテックス)のSD8018クロードという商品を当店で簡易型形態安定加工をして納品しました。サイズは巾334×丈264センチで左の写真がメーカーの見本帳に載っているものです。


横柄でひじょうに張りが強くてきれいにウェーブのでない商品です。メーカーが見本帳に載せている写真をみていただいてもわかるように裾のウェーブがきれいにでません。この商品は6400円/M(140巾)で、けっして安い商品じゃないのです。


当店ではこの商品は展示しておらず、他店で見てこられてお客様の方で、この商品指定で見積り依頼がありました。


五洋インテックスのメーカー縫製をしますと簡易型形態安定加工はしておらず、写真のような縫製になりますが、当店では無料のオプションで簡易型形態安定加工をしています。


メーカーでもこの商品はきれいにウェーブがでないということを認識しており、この商品は有料ですが真空釜でする形状記憶がかけられるようになっています。今回のケースで上代で13500円(税抜き)アップします。当店で形状記憶をかけると5100円(税抜き)のアップになります。


形態クレーム1形態クレーム2


 


 


 


 


 


 


 


 


この写真が当店で縫製をして簡易型形態安定加工をして納品したものなんです。
簡易型でするとウェーブはでるのですが、少し鋭角になるんです。なにもかけないよりもはるかにきれいにはなりますが、これが簡易型形態安定加工の短所なんです。


私共は、これはよく認識しておりますが、お客様はきれいでないとおっしゃるのです。普通はもう少しきれいになりますが、この生地の特性ですごく横の張りが強くてなかなかうまくいきませんでした。


真空釜でする形状記憶をすれば、もっとやわらかいウェーブがきれいにでます。
お客様がおっしゃるには「どうしてそういうことがわかっているならば、形状記憶をすすめなかったのですか。私なんかは素人だから生地の特性までわからない」とのことです。


お客様のおっしゃる通りです。
この生地を展示していなかったことと、接客した女性があまり現場経験がなかったので強引におすすめできなかったのです。


心の満足を提供できなかったことを反省しております。


形態クレーム3私がお伺いして現場でスチーマーをあてて鋭角な部分を丸くしてなんとか納めてきました。


このスチーマーは大活躍しています。12万円したのですがカーテン屋にとって必需品です。


 


 


 


 


 


 


 


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この件については下記のページも参考にしてください。

 



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形状記憶加工と形態安定加工②  ちょっとクレームがつきました

昨晩、メーカーに昨日かきましたアンケートを送っておいたところ、本日7社から戻ってきました。全部揃ったところできちっと報告しますが、その呼び方も各社バラバラなんです。


真空釜できちっとするやり方を、アスワンはリウェーブ(一般名詞では形状記憶加工)川島織物セルコンはファインウェーブ(形態安定)、五洋インテックスはウエーブ加工(形態記憶加工)、サンゲツはパーマネントプリーツ(形態安定)、住江織物はプリーツS(形状記憶)、東リはプリーツ加工、フジエテキスタイルは形状記憶加工といっています。


後から簡易型でするやり方をアスワンは形態安定、川島織物セルコンはソフトウェーブ(形態安定)、住江織物はプリーツR(形態安定)、東リはソフトプリーツ、フジエテキスタイルはリップルホールド(形態安定加工)といいます。サンゲツ、五洋インテックスはこの対応はしていません。


各社の呼び名も一般名詞も別々でウエーブのエが大きいところもあり、小さいところもあり、また新しい呼び名として形態記憶加工(五洋インテックス)といったりもします。これじゃ、私はユーザーにどのようにいえばいいんかい?


とりあえず、業界ではまとまりそうでないので、私は真空釜でする方を形状記憶、後から簡易にする方を簡易型形態安定という当社の呼び方で書いていきます。


この下の写真は真空釜でする形状記憶加工の機械です。


 


この下は簡易型形態安定加工の機械です。左は極東産機のパーマネントフィニシャー
右はラポージュのプリーツファーマーです。簡易型の機械は5社程だしていて、その違いは
後日説明します。


 


 


ここだけの話なんですけどね。まだ誰にも言っていないんです。
ちょっとびっくりしたんですが、この1ヶ月に3件まったく同じ問い合わせが電話であったんです。


「実はサンゲツでオーダーカーテンを買ったんですが、裾が広がってきれいでないんです。お宅であとからヒダをきれいに出す加工ができますか」 と。


言い方は違いますが、まったく同じ内容なんです。1ヶ月の3件ですよ。私が今までも、この問題についてブログに何回も書いてきたから多分検索に引っかかって問合せがあったんだと思います。


しかも、3回ともサンゲツなんです。やっぱりサンゲツカーテンってすごく売れているんだ~。
てか、縫製が問題なのかな?


「お買い上げになったところにおっしゃればいいじゃないですか」というとどこも対応してくれないというのです。ちょっといい方法をアドバイスしておきました。


やはり、ユーザーは安さよりも美しさを求めておられるのでしょうか。
こういう場合は、素材がポリエステルならば簡易型形態安定加工をすればある程度きれいにすることができます。


当店は無料のオプションで簡易型形態安定をしています。でも、先日納品したお客様でちょっとクレームがつきました。
サザンクロスのクロードSD8018という生地で簡易型形態安定加工をしたのですが、少しウェーブがきれいでなく、どうして形状記憶加工を勧めてくれなかったのかと言われました。


詳しくは明日書きます。


 


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この件については下記のページも参考にしてください。

 



 

形状記憶加工と形態安定加工①

今、はやりのものとして、カーテンに美しいプリーツを出すやり方で形状記憶(形態安定)というのがあります。やり方としましては、ポリエステルの熱塑性を利用して形状を安定させるもので、真空釜を使って加工をしたり、吊った状態で熱や蒸気をかけるものなど様々なやり方があります。


メーカーによってもやり方も違いまして、呼び方も違います。我々販売する側も混乱しております。


今は一般的なブランドメーカーはなんらかの形でこのような加工をしていますが、浸透してきたのはここ1~2年の話です。最初に出したのはセルコン(現川島織物セルコン)のファンタスプリーツで15~16年前だと思います。ひじょうにきれいな仕上がりで熱烈なファンはたくさんいたのですが、セルコンの営業力では広く一般に浸透しなかったのです。その後、川島織物(現川島織物セルコン)が6年程前に「ナチュラルウエービー」という名で出し、その頃から広がっていきました。ですから川島織物セルコンはこれはお家芸で、今は5つの呼び方があります。


私共は、川島織物が出した直後に、メーカーに頼らず独自にこの加工を始めました。サンゲツの「パーマネントプリーツ」より早くから始めていました。これらは真空の状態にして加工をするやり方ですが、その後、川島織物が簡易型に形態を安定させる「ソフトウエーブ」加工を出してきました。当店も独自で1年半前からこれを標準仕様(一部リーズナブル商品を除く)として取り組んできました。


私共は一業者の立場ですが、比較的早くから取り組んできていまして、もっとユーザーに浸透させたいと思っています。


そこで、数回に渡ってこの加工について書いていきたいと思っています。


 


そのための一般名詞ですが、これも各社バラバラなんです。だからNHKでも取り上げてくれないのです。


今のカーテン業界では、真空釜を使って加工をするのを「形状記憶」後から簡易型でするのを「形態安定」という流れがあったのですが、本家の川島織物セルコンが、フィーロという見本帳から一般名詞として真空釜を使うのも『形態安定性に優れた加工」という表現を使ってきているのです。


これは形状記憶と言うのは、あくまで素材(原子レベル含む)としての、完全なる形状復帰を指す物と解釈しているからです。また、繊維業界(とくにアパレル)では、以前は形状記憶と表現していましたが、消費者から誇大広告ではないかとの指摘により、現在ではほとんど形態安定という表現を使用しているとの報告があり、この事実も鑑み、形状記憶と言う表現は不適切ではないかと判断し、「形態安定」という表現を採用しているのです・。


これは正しい。私もそう思います。


当店でも、ずっと真空釜を使った加工を「形態安定加工」とし、後から簡易型にするのを「簡易型形態安定加工」と呼んでいました。ところがKYR(注)の私は業界の流れを読んでこの夏に真空釜を使う加工を「形状記憶」という呼称にすべて変えてしまったのです。あとからする加工はそのまま「簡易型形態安定加工」としています。


そこで、メーカーに対して下のアンケート用紙を送りました。


各社の呼び方とそれに対する一般名詞を真空釜でする場合と、後から簡易型にする場合を問うてます。また、金額、特長などもです。


アンケート送付先 アスワン、川島織物セルコン、キロニー,五洋インテックス、サンゲツ、シンコール,住江織物、東リ、フジエテキスタイル、リリカラ


この結果は皆様にご報告いたします。


 



注)KYRとは、今流行りの空気が読めないことをKYといいますが、空気が読めるのをKYRといいます。


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この件については下記のページも参考にしてください。

 


簡易型形態安定加工(1)」

ブログで簡易型形態安定加工(形状記憶)について何度か書いたところ、読者の方から問合せが多くあります。


他店で作ったオーダーカーテンのプリーツがあまりにもきれいでないので、あとから形態安定加工(形状記憶)ができますかという問合せが多くて、実際に商品も送っていただいたので初めて請けました。


基本的にはポリエステル100%のものはできます。


東京の方から送っていただいた商品です。(1.5倍使い:巾160×高さ185センチが2枚)


形態1


形態2


 


 


 


 


 


 


 


簡易型形態安定加工(形状記憶)をかけているところです。


形態3


形態4形態5


 


 


 


 


 


 


 


出来上がりです。


形態7


形態8


 


 


 


 


 


 


 


価格は生地へーベー当たり300円いただきました。往復の送料はお客様負担。
当店ではこのような加工を簡易型形態安定加工と呼んでいますが、今後はインターネットの検索にひっかかるように併記して形状記憶とも書くようにします。
詳しくは明日また書きます。


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感動を呼ぶレースの簡易型形態安定加工

当店では、リーズナブル価格商品やポリエステル100%以外の商品を除いて、2月17日より、プリーツを美しくする簡易型形態安定加工をして納品しております。

2月17日は当社の19年目の創業記念日で20年目の飛躍に向けて、無料のオプションとして簡易型形態安定加工をしています。これは川島織物ではソフトウエーブ加工と称しているものと同じやり方で、縫製後に175℃の熱風をかえることによりポリエステルの熱可塑性を利用して形状を記憶させるものなんです。

川島織物では、縫製価格を200円/㎡アップしてドレープのみ標準仕様にしておりますが、当店では価格据置で、標準仕様(できない商品もありますので無料のオプションという表現を社内では使っています。)にして、しかもレースにも簡易型形態安定加工をしています。(川島織物はレースは標準仕様ではありません。)

このレースの簡易型形態安定加工がすごくきれいのです。
私が、吊り込みにいくと必ずお客様がうしろで「まぁ、きれい!」とおっしゃていただけます。

レースはしばらく経つとある程度きれいなウエーブがでてきますが、納品時はそうでもないことが多いのです。
カーテンは吊って初めて商品なんです。

納品時に感動していただけることが私共の仕事なんです。


レース形態2形態レース3ドレープにも無料の簡易型形態安定加工をしています。


 


 


 


 


 


 



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カーテンの形態安定加工が大流行(3)

3月9日のブログの続きです。



 


簡易型の形態安定加工では最初にこの世に出したのが極東産機のパーマネントフィニシャーです。
これは蒸気で上からプリーツを整えながら加工していく方法です。


パーマネントフィニシャー1


2


5


 


 


 


 


4


 


 


 


 


 


 


 


問題点は竹綱の商品のように裾の部分を固定しないため、プリーツが均等でない時があるというのがありましたが、今回グレードアップ品が発売されまして、裾ウエーブプレス加工付きという商品がでました。


けっこうきれいに仕上がります。


 


こちらのブログでも施工例を書いてますので覗いておいてください。
『2段レース』の施工例


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 織物研究会

カーテンの形態安定加工が大流行(2)

3月7日に書きました「カーテンの形態安定加工が大流行」(1)の続きです。


まずは話題性のある話からです。
カワシマがアッセという見本帳で標準仕様にしていますソフトウエーブ加工についてです。標準仕様ですが、縫製代は従来のものより200円/㎡アップしていますし、レースは標準仕様ではありません。


これは、170℃~175℃の熱風をかけることによってポリエステルの熱可塑性を利用し形状を記憶させます。これによってきれいなプリーツを出すことができます。


メーカーでは、半永久的なものでなく、数回の洗濯でとれることがあるといってますが、私が1回コインランドリーで洗濯実験した中ではまったく問題はありませんでしたし、数回の洗濯でとれても、数回洗濯するには2年以上経っていますし、その頃には生地もしなやかになり、大きな問題ではないと思っています。


3月7日のブログに違いの写真を載せていますが、明らかに違いがあり、吊った時は美しいのです。


加工機1


加工機3加工機2


 


 


 


 


加工機4


加工機5


 


 


 


 


カワシマは竹綱製作所のものを使っており、写真は基本形で、購入店で各自工夫して、熱風が逃げないように全体にカバーをしたりしています。私はカワシマで使われているものは見たことはありません。これは当店の加工所のもので、その後、カバーをつけたりして工夫しています。


この竹綱製作所は裾のウエーブのところに前後のテンションをかけて均等にするためきれいなウエーブがでます。問題点は裾の部分はよくかかり、耳の部分もカールするため、両開きの中心が閉めたとき、逆V字に少し広がるということがあります。これも、今は4月の合併に向けて社内しか見えていませんが、もうすぐ改良してくると思います。


形態当店では、この点は改良しまして裾が広がるようにしています。
当店でも標準仕様でこの簡易型形態安定加工をしていますが、できない商品もありますので、価格据置で「無料のオプション」という表現にしています。


 


 


 


 


レースレースも「無料のオプション」で、レースに形態安定加工をするとプリーツが美しく、洗濯も楽でおすすめです。


 


 


 


 


 


続く。 次は極東産機のパーマネントフィニシャーについてです。


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