形状記憶・形態安定

カーテンの丈

今日は先日カーテンを納品したお客様からカーテンの丈が長いので見て欲しいという依頼があり伺いました。

当店では、掃き出しの窓(床まである窓)では床上り1センチでドレープ、レース同寸を基本としております。
丈に関しては、お客様によって様々です。
ギリギリにしてほしいという方もおられますし、掃除するのに汚れるから3センチぐらいあげてほしいと言われる方もおられます。
中には、床より10センチぐらい長くしてするようにしてほしいという方もおられます。

海外のカーテンヨーロッパのカーテンの写真(左・クリックすると大きくなり、カーテンの右側をみると床にすっています。)を見られた方があると思いますが、あちらでは床より長くしてひきずるようにつけるのが正しい吊り方なんです。
これは隙間風を防ぐためなんです。

でも、日本では床にするとクレームがつきます。
たまに丈を間違って長く作ってしまった時、「ヨーロッパでは、これが当たり前なんですよ」といった言い訳はしません。

今日のお客様も短めにしないと汚れるということで、吊ってしばらくしてカーテンの一部が床にすっていてクレームとなりました。
実測は私がしまして、そのときにわかっていたのですが、レールがついているところがほり込みのカーテンボックスになっていてレールから床までの丈が左右で5ミリ違ったんです。窓は完全掃き出し窓(窓の下に立ち上がりの壁部分がない窓)で遮光1級の裏地(フジエFA2024BE)をつけるためギリギリのサイズで製作したのです。

結果的には、フックのところは縫込みのアジャスターフックを使っているため、部分的に調整してご了解いただきました。(下の写真)ドレープはサンゲツCK5026を使っておりますが、この生地は裾が広がる生地のため形態安定加工をしています。
丈は2.5Mあり、開閉をスムーズにするために当社オリジナルのバトンタッセルをつけています。現状で床とカーテンの隙間は7ミリですが遮光1級の裏地をつけていると生地の部分から光が漏れないため、床との隙間からの光の漏れがかなりわかります。

形態安定加工1形態安定加工2

最近の流行の吊り方

本来、このブログは消費者のためにプロの立場でカーテンのことをお話して、少しでも興味を持っていただければと思って始めたのですが、以前は同業者向けにメルマガを書いていた関係で業界内のことを書く傾向があります。

できるだけ、消費者向けに書いていきたいと思っているのですが、なかなかネタがなくてすみません。

今日は吊り替えのお客さまの吊り替えと新築マンションの吊り込みに行ってきました。

吊り替えのお客様は大きなリビング1窓ですが、カーテンが日に焼けて裂けているんです。このカーテンはいつ頃買われたのかを伺ったところ、30年前とおっしゃいました。生地はしっかりしており、これに裏地をつけていたらもっと長持ちしたかもしれません。
販売する商品を長く愛用していただけるのはうれしいですが、カーテンが一生ものと思われるとちょっとショックですね。

新築のマンションはお客様がメーカーのショールームをたくさん回られて生地を選ばれたのですが、最近の流行のレースを室内側に吊り、厚手(ドレープ)をガラス側に吊りました。携帯カメラで撮ったためきれいにみえませんが
色の調和がとれていて、家具とのコーディネートもうまくとても良い感じでした。

レースはカワシマのフィーロFF5534で300巾のヨコ使いの生地で、2倍使いです。
ブラウン系のレースで裾をウエイトロックにすると糸と生地の色が違うため、本縫い巻きロックにしています。これはメーカーの標準仕様の縫製ではほとんどやっていないと思いますが、当店では標準仕様です。詳しくは1月30日のブログをもう一度ご覧下さい。

ドレープはサンゲツのロマネのCK4375で1.5倍使いの1つ山で形態安定加工をかけています。レースを手前につけて、ドレープをガラス側につける場合はドレープをフラットな感じにすることが多いのですが、1倍使いにすると趣がなく、1。2倍使いにするともたつく感じです。フラットカーテンの場合開けた時のたまりがきれいでないのです。
1.5倍使いで1つ山で形態安定加工をすることにより、細かくて浅いウエーブが出て、開けた時のたまりのおさまりがいいのです。

最近の吊り方1最近の吊り方2最近の吊り方3

形態安定加工の話 続き

今朝、会社に来る時に西の空に満月が輝いていました。朝に月を見る季節となりました。

22日に書きました(カレンダーの22日をクリックすると読むことが出来ます。)形態安定加工の話の続きです。当店の形態安定加工は真空窯を使用するトタン板方式です。当店の加工所にこの窯がありますので、当店ではどこのメーカーの商品でも同じやり方ですることが可能で、関西では業者レベルで、独自に形態安定加工のできるところは少ないと思います。
ほとんどの業者はメーカー任せで、自ら研究したり勉強したりしているところは少ないです。
また、他店では、選んだ生地がそのような対応をしていないメーカーのものだったら、形態安定加工ができないと言われることもあると思います。たとえば、フジエテキスタイル,五洋インテックス,マナ、日本フィスバ、フェデ、ナショナル物産等。

形態安定加工のやり方は、窯できちっとやって半永久的に効果のある方法と、簡易的にあとから蒸気をかける極東産機のパーマネントフィニシャーを使う方法があります。

ほとんどのメーカーは、真空窯を使ってやっており、当店も同じです。
これにも2つの方法がありまして、当店も採用しておりますトタン板方式と、パイプ方式があります。トタン板方式は波うったダンボールの上に縫製する前のカーテン生地を乗せて、窯に入れるやり方で、セルコン、アスワンがこのやり方です。ウエーブは綺麗に出ますが生地の横のリピートと原版のウエーブのピッチの絡みがありまして問題点もあります。パイプ方式は出来上がったものをつるして形態安定加工するやり方で、カワシマ、リリカラがこのやり方です。こちらも熱の安定性という問題があります。
各社ともあまり公にしたがらないので、ここではこの程度にしておきます。

形態安定加工について

今日は実は10月25日なんです。ちょっと怠けてしまいました。でもこのブログのいいところは日時を簡単に変えられることです。昔から切羽つまらないと出来ない性格で、最後にまとめて帳尻あわすのは得意でした。

ここ3日間程風邪をひきまして下痢で苦しんでおりました。3日間で2,5キロ痩せました。ちょっと落ち着いて油断したせいでしょうか。このようなカゼをすき間カゼと呼んでいます。オシャレ言っている場合じゃないって。
私は健康管理にはひじょうに気を遣っておりまして、創業以来18年間で病欠は1日しかありません。この3日間も仕事はしていました。。27日は人間ドッグにいきます。

最近、形態安定加工の依頼がひじょうに多くなってきました。
形態安定加工はワイシャツなどでよく使われているのでだいたいご存じだと思いますが、ポリエステル素材の持つ熱可塑性を利用して半永久的に携帯安定性を持続する加工です。ポリエステルの熱可塑性とは、ポリエステルに一定の温度(130℃ぐらい)を与えると、そのときの形態を記憶し、常温に戻したときも与えた形を維持します。この特性を利用してヒダやプリーツを生地に覚え込ませ、カーテンを縫製します。3f53a8c6.JPG写真は同じ生地の色違いで右は普通の縫製で、左は形態安定加工したものです。1年間経過した状態です。

これを最初にこの業界に紹介したのはセルコンでファンタスプリーツという名前です。
すごく美しかったんですが、セルコン1社しか取り扱いをしておらず、セルコンファンの業者しか勧めなかったため、あまり消費者には浸透しませんでした。熱烈なファンがいたのも事実です。

私もこれを自社の加工所でできないものかと考えておりました。
3年程前にイズミヤのカーテン売り場で中国製の既製カーテンが形態安定加工されて、2980円で販売されているのを見て、おおきなショックを感じました。今まで既製カーテンなんて縫製がよくないしと思っていたのですが、それが形態安定加工がされていると綺麗なんです。これをオーダーで普通の縫製をしていたら駄目だと思い、国内でオーダーカーテンで独自に形態安定加工してくれるところを探すことに躍起になり、当店では2年前から、本格的真空窯で形態安定加工をしております。

同時期にサンゲツがパーマネントプリーツという名前で、形態安定加工をやり始めてから世の中に浸透しました。
各社独自の名前を付けており、各メーカーの営業マンは自社のことしか知らないため、後日各社の違い、特徴について述べます。
ちなみに
カワシマ→ナチュラルウェービー
アスワン→リウェーブ
東リ→プリーツ加工
リリカラ→エレガンスプリーツ
シンコール→エバーカーテン 訳わからん名前で最近名前がかわりましたが、その名前もわからん。

その他、今やほとんどメーカーが形態安定加工を独自の名前をつけておりますが、名前はとても覚えられません。当店では一般名詞として、「形態安定加工」としています。

1.5倍使いのペンタック形態安定加工

今日は小学5年の次男の運動会で午後から行ってきました。父兄の方もたくさん見えており、盛り上がっていました。多くの方はデジカメかビデオを持って、自分の子供の様子を一生懸命撮っておられました。ちょっと不思議な現象ですが、低学年の方が、カメラマンが多く、高学年になるにつれて少なくなってきます。今年はオリンピックのせいでしょうか、綱引きで盛り上がったときは「キョウコ、気合だ」と叫んでおられたおとうさんもいました。

今日はたくさんのお客様の来店がありました。
e9c3d65d.JPG3b7301aa.JPG納品したお客様で織キズがあるというクレームで私がお伺いしてきました。今回納品させていただいたのは、当店独自の企画であります1.5倍使いのペンタック(1つ山)の形態安定加工です。オーダーカーテンは通常2倍使いが多いのですが、1.5倍にすることによって価格が安くなります。しかし、既製カーテンのようにヒダとヒダの間隔があくと間が抜けたようになるため、通常の2倍使いと同じヒダ間隔の11~12.5センチぐらいにするために1つ山にしています。(写真をクリックすると大きくすることができます。)それに形態安定加工をかけることによってウエーブが綺麗に出ます。この商品は当店のオリジナル商品ですが、ヨコのリピートが17センチで、形態安定加工のピッチとあわせており、ヒダ山と柄をあわせることが出来ています。

ペンタックの価格は通常2倍使いのものに対して、3分の2ぐらいで、プラス形態安定加工代。形態安定は当店の加工所で真空窯でやっておりますので、どこのメーカーの商品もできます。形態安定加工代はヨコ2mの窓で2500円アップするだけで、何回洗濯をしてもヒダはきれいにでます。ポリエステル100%の商品しかできません。