お知らせ
9月23日㈯は秋分の日で休業いたします。
前回の続きで、先日宿泊した紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良の
客室のカーテンについてです。
生地はドレープ(厚手カーテン)は裏地付きで、レースもサンゲツです。
サンゲツの場合、洗濯絵表示ラベルにいつ発行の見本帳と商品番号が
書いてあるのですぐにわかるのです。
ドレープはAC5449 (現AC2401) レースはSC8640です。
そして、形態安定加工をしていることも書かれているのです。
さらに東京店から生地が出荷されていることも書かれています。
奈良の物件なのに、大阪店ではなく東京店なのはなぜか・・・
おそらく東京の業者が取り付けたんだと思います。
防炎ラベルの登録番号をみるとAEF-23-1185と書いてあるのでサンゲツの
メーカー縫製であることもわかるのです。
このラベルはサンゲツ独自のカーテンのリサイクルに対応するためで
すばらしいことなんです。(サンゲツカーテンエコプロジェクト)
私はサンゲツで5年間社会人教育を受けたので、ホテルのカーテンが
サンゲツだったのがひじょうにうれしかったのです。
思わず、「サンゲツや~」と叫びました。
というのも、国内のいろんなホテルに宿泊していますが、ホテルの
カーテンでサンゲツがついていたのはほとんどないのです。
我がことのように忸怩たる思いをしていたのです。
ほとんどが川島織物セルコンかフジエテキスタイルです。
メカモノはほとんどニチベイです。
こうしたコントラクト物件は、カワシマ、フジエは強いのです。
川島織物セルコンは今年創業180年です。
歴史の重みのある会社です。
サンゲツは今年創業174年です。
この6年の差は、サンゲツがいくら頑張っても追いつくことが
出来ず、サンゲツは川島織物セルコンに勝てないのです。
フジエテスタイルは創業138年で京都西陣が創業地です。
レールはトーソーの電動カーテンレールプログレス25です。
手前のカーテン用レールは遮光性を高めるために2本使っていて
交叉レールで生地が重なるようになっています。
基本的には右側のレールが手前にくるようにします。
右前です。
日本では左前というのはあまりいいように使わないからです。
窓側は1本のレールで交叉ランナーを使っています。
電動のスイッチはベッドヘッドのところにビルドインされていて
ドレープ(厚手カーテン)は英語で Drape
レースは Sheer
と書かれているのです。
これで一般の人はわかりますか?
たまに社会人経験のある人を中途採用で面接して、そのときに
「ドレープ」ってわかりますかと聞くと、まずご存じないです。
「シアー」は「透明感のある」というような意味です。
レースというと編み物になってしまうので、この場合はシアーの
方が正しいのです。
幸いにして、電動カーテンレールですが、手動でも動かせる設定
(タッチモーションでない設定)になっていたので、スイッチが
わからなくてもトラブルはないと思います。
カーテン屋の視点
ちょっと斜めからみたプロの目で気づいたことを書いておきます。
1)ドレープの表地はAC2401で、防炎、遮光1級、ウォシャブルで、石油系の
ドライクリーニングOKの商品です。
ドレープの裏地は番号はわかりませんが、サンゲツの生地で裏にラミネート
加工をしている完全遮光の1級です。
防炎ですが、サンゲツはこの生地は業界規準のウォッシャブルにはしていません。
(ラベルでは手洗いはOK)
ドライクリーニングはダメの商品です。
ポリウレタン樹脂やアクリル樹脂のものを石油系のドライクリーニングすると
生地が溶けるような感じになることがあります。
,
でも、このカーテンについている洗濯絵表示マークはドライクリーニングOKに
なっているんです。
ホテルなので、クリーニングして使うことはあまりないと思いますが
一般の家庭でも、裏にラミネート加工や、コーティングしてある完全遮光1級の
ものを使うことはあります。
裏地付きだと縮むリスクヘッジでほとんどドライクリーニングになるのですが、
この場合はたいへんなんです。
この場合、他店購入のカーテンは買ったところでクリーニングしてもらう
ようにお願いしてお断りをするのですが、当店でお買い上げいただいた場合は
販売責任でクリーニングをさせていただいています。多少のノウハウがあります。
2)遮光性を高めるために壁に黒の面ファスナー(マジックテープや
ベルクロテープともいう)をタッカーでとめて、
カーテンの耳にも面ファスナーが縫い付けてありました。
上の画像は壁にタッカーでとめてあります。
カーテンは表側に面ファスナーのメスが縫い付けてあります。
壁とカーテンとの隙間の光漏れを防ぐためなんですが、けっこう高い部屋に
このセンスはいかがかなと思います。
壁の中に建築段階で薄い鉄板をいれて、カーテンの耳にネオジムマグネットを
仕込むというようなこともできるのです。
こちらのブログを参考にしてください。
3)開業3週間でカーテンに汚れがついているのです。
カーテンのヒダとヒダの間の谷の部分が閉じた時に前にでて、
カーテンボックスの裏側にこすっているんです。
これはカーテンの芯地の問題もあるのですが、手前側のレールはもう少し
窓側につけないといけないと思います。
トーソーの電動カーテンレールの場合、窓側のレールの交叉ランナーが
大きすぎるのです。
部屋側に飛び出すぎるためにカーテンボックスを大きくとらないと
納まらないのです。
当店の場合、このようなケースでは交叉ランナーをディスクグライダーで
短くカットします。
開業3週間でこんな状態だと、1年もしないうちにこすれて生地が破れて
こないかを心配します。
4)レールの色はホワイトは目立ちます。
トーソーの電動レールは白しか選択の余地がないのですが、シルバー
だったらもう少し目立たないのではと思いますした。
先月、取り付けたナスノスの電動カーテンレールはホワイトとシルバーを
選ぶことができ、木目のカーテンボックスだったので、シルバーにしました。
そうしたら目立ちますがなじみました。
トーソーもこれから一般住宅に電動カーテンレールを普及させるには
シルバーのカーテンレールも必要かと思います。
そのブログはこちらです。
5)裏地付きの場合の表地の裾折り返しはショートヘムで十分だとわかりました。
オーダーカーテンの場合は、裾の折り返しは一般的に10cmにします。
しかし、このホテルのカーテンは裏地付きのため3cm折り返しになっていました。
(ショートヘム)
上の画像は表側の生地の裾の折り返し部分で3cmなっていました。
下の画像は裏側です。
これでまったく問題はないのです。
これによって1巾につき、20cm生地の使用を減らすことができるのです。
これは勉強になりました。
さすがサンゲツです。
今日の話は役にたちましたか?
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