私の好きな女性のタイプ

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七重八重 花は咲けども山吹の みのひとつだに なきぞ悲しき

太田道灌後拾遺和歌集」に収められた兼明親王の詠み歌。というよりは、千代田城を作った太田道灌が、この歌を知らなかったばかりに恥をかき、以来、学問に勤しむきっかけになったという逸話のほうで、知られているのではないか。

道灌が鷹狩に出掛けた折、突然の雨に遭った。近くの民家に寄って雨具の蓑を借りようとしたところ、その家の若い娘が、蓑の代わりに、八重咲きの山吹の小枝を黙って差し出した。自分の家にはあいにく蓑がないことを、山吹には「み(実)」のない残念さを詠んだこの歌にかけて小枝を差し出した娘の奥ゆかしい振る舞いだった。なのに、この歌そのものを知らなかったため腹を立てて帰った道灌は、あとで家臣からその意味を教えられて愕然とし、自分の不明を恥じたーーーご存知の方も多かろう。

この逸話を初めて聞いたのは、たしか中学時代の授業。日本人の、とくに当時の女性の、奥ゆかしいさを表す話ではないかと 早熟ながら、いたく感動した覚えがある。

27日朝の一般紙に乗ってある雑誌社の広告は、そういう時代遅れの価値観を持つ女性には、衝撃的だった。新たな女性誌の創刊を、もちろん女性に知らせる広告だ。

見開き2ページ全面広告の、右ページには大きな活字でただ一言「コムスメに、勝つ!」。そして左ページに、少し長いが以下のようなコピーが続く。
チヤホヤされた若かった時代を過ぎて「近頃サッパリ」モテない あなた!一体ナニがいけないのか?そう、もう若くはないのです。

でも、あなたはコムスメには太刀打ちのできない経験値と経済力を持っているハズ。後は「モテるテクニック」を身につけるだけ。

ひとりよがりのモードおたくな努力、あるいは「自立」に逃げて きた結果が孤高の「凄い女」を生むワケです。 でも、そこにはシアワセはない?
大人の女はテクニックの有る無しで人生のシアワセ度が大きく異なるのです。だからいま、あなたに必要なのは「若さ」じゃなくて「テクニック」。

NIKITA『NIKITA』は、きっとあなたを「艶女」にします。
読み終えて、もう小娘ではない女性社員が、わめいた。「なんだあ、この言い方!アッタマに来た。この本いつ出るの?今日?うーん・・絶対・・帰りに買ってやる!」
くすぐれば、財布のヒモが緩む時代ではなくなった。そう、「本音」で迫る時代ーー

この文章は私が書いたものではありません。毎週週末に仕入先からファックスで送られてくる「レーダー」というエッセイでタイトルが「本音の時代」というのをコピーしました。私もこの逸話を初めて聞いた時は、我が意を得たりで、持ってた紙をバッタと落とし、小膝たたいて思わず「うんうん」とうなずいたものです。恥ずかしながら47歳の5日前の話です。こんな女性が好きですね。

知的でユーモアの通じる女性。

「NIKITA 」は30~35歳の女性、独身・既婚は問いませんが年収800万円以上のキャリア女性、もしくは月に30万円以上を自由に使えるエグゼクティブか自営業の奥様などがメインターゲットとした雑誌です。「自分へのご褒美」として高額商品を次々と購入してきた人たちです。もちろん、私は読んだことはありません。この層はどんなインテリアを好むのかを勉強するために雑誌を買ってみようと思っています。

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