カーテンメーカーでは、マナトレーディング、川島織物セルコン、リリカラ、
サンゲツの4社がウイリアムモリスの商品の取り扱いをしています。
前回のブログの続きで、その4社が取り扱っている、モリスの商品の中の
「イチゴ泥棒」(Strawberry Thief)という商品で違いを比較したいと思います。
日本での発売順です。
1)マナトレーディング(通称マナ)
直輸入の生地綴じサンプルと国内在庫のマナテックスの見本帳に載って
いるものがあります。
価格 12800円/m (9280円/㎡)税抜き
素材 綿100% のプリント (水洗い不可)
規格 生地巾138㎝ タテリピート53㎝ ヨコリピート46㎝
2)川島織物セルコン
サンダーソンから版権を得て日本で製造しています。
写真カタログと生地を貼った台紙サンプルがあります。
価格 13900円/m (10000円/㎡)税抜き
素材 ポリエステル100% のジャガード(織物)(水洗い可)
規格 生地巾139㎝ タテリピート40.4㎝ ヨコリピート34.8㎝
3)リリカラ
リリカラはイギリスの博物館のヴィクトリア・アンド・アルバード博物館
(V&A)が所蔵するウイリアムモリスの商品の版権を買って日本で製造
しています。
V&Aブランドとしてウイリアムモリスの商品を販売しています
価格 8690円/㎡ (12000円/m)税抜き
素材 ポリエステル100% のジャガード(織物)(水洗い可)
規格 生地巾139㎝ タテリピート41.5㎝ ヨコリピート34.5㎝
4)サンゲツ
サンゲツは7月6日発売のため、手元に見本帳がありません。
サンゲツはサンダーソン社との共同開発で日本で製造しています。
価格 13340円/㎡ (20000円/m)税抜き
素材 ポリエステル100% のジャガード(織物)(水洗い可)
規格 生地巾150㎝ タテリピート60㎝ ヨコリピート50㎝
まずは価格ですが、メーカーの罠がありまして、マナと川島織物セルコンは
m単価を先に書き、リリカラ、サンゲツは㎡単価を先に書いています。
カーテンには生地巾というのがあり、それぞれ違います。
実際に購入するときはm単価で購入するのですが、比較するときは㎡単価に
なります。
(㎡単価というのは、仮に1m×1mのサイズにした時の価格のこと)
でも、オーダーカーテンの場合は、縫製して出来上がった商品は、何幅使うかにも
よって違いまして単純に㎡単価が安いと、出来上がった商品が安いというわけでは
ないのです。
縫製するサイズによって違うのです。
以前は、全メーカーがm単価を先に書いていましたが、ここ何年かは
スミノエ、シンコール、サンゲツ、リリカラは㎡単価を先に書いています。
そうすると、生地巾が150㎝や137㎝のものだと㎡単価が安いのです。
それを意図して書いています。
最近は、安く感じてもらった方がいいという発想で㎡単価を先に書く流れに
なってきました。
マナは、生地をメーターいくらで輸入しているのでmを先に書くのは当たり前という
考えだと思います。
川島織物セルコンはカーテンは縫製して初めて商品と考えており、㎡単価で
比較するのは邪道だと思っています。
おそらく、信念をもってm単価を先に書いていると思います。
m単価で比較してみます。
マナ 12800円/m (9280円/㎡) 生地巾138㎝
川島織物セルコン 13900円/m (10000円/㎡) 生地巾139㎝
リリカラ 12000円/m (8690円/㎡) 生地巾139㎝
サンゲツ 20000円/m (13340円/㎡) 生地巾150㎝
これはメーカーが勝手につけた定価です。
こうするとサンゲツが一番高いのですが、カーテンの場合はメーカーによって
仕入れ掛け率が大きく違うのです。
値引き率がいいから安い、割引率が悪いから高いというわけではないのです。
この商品で比較すると、当店の場合ならばリリカラがダントツに安いのです。
サンゲツ、マナ、川島織物セルコンは当店の場合仕入れ価格でいうと大差なく
ほぼ同じです。
組成と規格について
マナの生地は、イギリスからそのまま輸入しています。
綿100%にプリントしています。
色が鮮やかできれいです。
柄も大きいのです。 タテリピート53㎝ ヨコリピート46㎝
川島織物セルコンは日本でジャガードで織っています。
素材はポリエステルで水洗いができます。
柄の大きさは、タテリピート40.4㎝ ヨコリピート34.8㎝
マナのオリジナルに比べて柄の大きさが4分の3になっていて小さいのです。
日本向けに柄を小さくしています。
生地の糸の本数(打込み本数)が多くて高級感があります。
リリカラは川島織物セルコンとよく似た感じの織物で、ポリエステル100%で
水洗いできます。
柄もタテリピート41.5㎝ ヨコリピート34.5㎝
お値段はダントツに安いですが、手持ち感が違って薄いように感じます。
私が調べたわけではないので、エビデンスはないです。
本来ならば対抗するメーカーが他社のものを調べて、
「あっちはこれだけしかないけど、こっちはこれだけあるので高いんですが
商品がぜんぜん違うんですよ」と言ってデータを出すべきなんです。
そうすれば、エンドユーザーも高くても納得して買うのです。
でも、インテリア業界は他社の悪口は言わない、比較しない、勉強しないの
3つの不文律があるようで、他社と比較して自社の商品アピールは
めったにしません。
サンゲツはポリエステル100%の織物ですが、他社と違うのは
サンダーソン社と2年かけて共同開発していますので日本人が
好むようにしています。
生地巾が150㎝でタテリピート60㎝ ヨコリピート50㎝で
原画に比べてサイズがいびつなんですが、ヨコリピート50㎝にして
2倍使いで縫製するとひだ山柄合わせができるようになっています。
柄が大きいので、小さい窓には気をつけなければなりません。
壁紙や床とコーディネートできるメリットもあります。
ヒダを取った時の柄がそろうように作られているのです。
先日のサンゲツの展示会のときに、サンダーソン社のデザイナーの
クレアさんに
「日本人はウイリアムモリスが大好きなんですが、それはどうしてだと
思いますか」と聞きました。
その答えのひとつに日本人は左右対称とかが好きで、モリスのデザインには
そういったものがあると言っておられました。
それをさらに具現化したのがこのデザインだと思います。
今日の話は役にたちましたか?
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