前回の続きです。
2015年7月に発行されたトーソーのカーテンレールのカタログに掲載されている
「カーテンを美しく吊るために」の検証です。
484ページに「腰窓のカーテン裾の折返しと窓枠の関係」という項目が
あります。
画像はクリックすると別のページに飛びまして、そこでダブルクリック
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そこには
腰高窓の場合、カーテンの丈寸法は窓枠下端よりも15〜20㎝長めが
ベストです。
カーテンの裾の折返しは約12㎝あり、折返しより短い寸法の場合、光が当たり、
ステッチ(ピンホール)や、折り返しのラインが透けて見栄えが悪くなります。
と書かれています。
トーソーは今回、はっきりと裾の折り返しは12㎝と書いています。
当店は裾の折返しは通常は10㎝なんです。
他社はどうなのか?
メーカー縫製はどうなのか? を調べてみました。
同業間では10㎝が多いです。
メーカー縫製では、
フィスバ、フジエテキスタイル、アスワンは裾の折返しは12㎝
川島織物セルコン、スミノエ、サンゲツ、五洋インテックス、シンコールは
裾の折返しは10㎝です。
東リは11㎝です。
歴史的にみたらどうなのか?
こうした縫製仕様や窓装飾に関する提案はずっとトーソーがリード
してきました。
昭和44年(1969年)7月発行の東装株式会社(トーソー株式会社の前身)の
「窓とカーテン」には
裾の始末は7.5〜10㎝位と考えていいでしょうと書かれています。
トーソー株式会社が昭和48年に発行した「カーテンスタイル」には
裾の折返しは標準的には約10㎝として、折り返し分20㎝を見込みます
と書かれています。(注)ここでいう折返し20㎝は裾のみです。
こういうのは時代の流れによって変わってきますので、今回は
裾の折返しは12㎝としたのは、考え方の違いなので問題はないのですが、
私の考えと違うのは474ページの「美しいカーテンのつくり方」で
記載されている要尺計算式です。
拡大すると
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2015年のトーソーは要尺計算で裾の折り返し分は15㎝、上部の折り返し分は
10㎝でカーテン製作丈に対して縫い代25㎝必要としています。
これは、裾の折返しは2つ折りのシングルであるべきと言っているのです。
これは新しい提案です。
今のカーテン・縫製業界の通念としては、要尺計算では丈に対して
上下の折り返し分(縫い代)40㎝として計算しています。
昨年発行された日本インテリアファブリックス協会(NIF)の
「窓装飾プランナーBOOK」にも40㎝となっています。
拡大すると
当店も上下の縫い代は40㎝で計算しています。
トーソーは日本ファブリックス協会(NIF)の主要会員ですが、1年前に
つくられたものに対して、独自で新しい提案をしてきたことは、今まで
この分野をリードしてきた自負があったのだと思います。
これを闘争心といいます。
こういったものは、正解というのはありませんので各社、個人の考え方で
間違いではありません。
もう一つ、「腰窓の場合は窓下15〜20㎝長めがベストです。」と
書かれています。
これも、人の好みや現場状況に寄りますので正解はありません。
よくエンドユーザーと接して、腰窓の場合、何センチ長くしますかというと
意外と短めをおっしゃる方が多いです。
私の場合は、一つの基準として床上がり71㎝にすることが多いです。
だいたい、勉強机の高さが70㎝のことが多いので、窓下に
机が来ても触れないようにという考えです。
当店の取引先の住宅メーカーの窓は、腰窓の場合ほとんどが窓の
下枠の下が床上がり87㎝になっています。
この場合は、私ならば16㎝長くします。
業界通念の15〜20㎝長くするという範囲内です。
部屋に掃出し窓と腰窓があった場合、掃出し窓の製作寸法がでたら
そこから70㎝引けば腰窓のサイズが出せるので計算が楽という
考えです。(掃出し窓は床上がり1㎝のサイズになっています。)
でも、住宅メーカーのマニュアルでは、すべて窓下20㎝プラスに
なっています。
こういうのも正解はないですが、考え方はしっかり持っておかなければ
ならないと思っています。
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