住宅メーカーのカーテンの縫製仕様に「セミ」というのがあります。
「セミ」というのは、カーテンフックの位置がカーテンの生地の上から3センチの位置に設定されているのをいいます。
通常は生地上から1センチもしくは生地とツラがあっている位置にフック(引っ掛けるところ)が設定されているのをAフックといいます。これはカーテンレールがカーテンボックスにあるときや装飾レールを使うときはこの仕様にします。
これに対してBフックというのがあり、これは生地上から4センチ下がった位置にフックがあるのをいいます。これはレールが正面についていて閉めるとレールを隠したいときに使います。
オーダーカーテンの丈は一般的には「カン下何センチ」というような言い方をいまして、カンというのはカーテンレールのランナー(駒)のひっかけるところからのサイズをいいます。
Bフックの場合はランナーの位置から4センチ上にあがっていて、総丈としては長くなっています。
このセミという言葉を聞いたときは業界にいて22年の時ですが、住宅メーカーの縫製マニュアルで初めて聞く言葉で住宅メーカーにきいたのです。そうしたところ、大阪では誰一人ご存知でなく、東京の縫製マニュアルを作った人しかわからない言葉で、それがわかるまで中1日かかりました。
そのあと、取引のあるカーテンのメーカーにきいたところ、川島織物だけが当たり前のように「カン上3センチのことです」といったのですが他社は誰も知りませんでした。
のちに川島織物と合併したセルコンの偉いさんに聞いても「そんなの聞いたことない」とおっしゃいました。セルコンの前身は近藤忠商事といいまして我々は略して「近忠(こんちゅう)」と呼んでました。
そのコンチュウ出身の人でもセミを知らないのです。
我々もカン上を3センチにすることはよくあります。写真のようにレールが天井についていて、閉めたときにカーテンレールを隠したいときは「カン上3センチ」という指示をします。写真のレールはトーソーの優秀なレールで「エリート」といいまして、このレールは天井からレールのひっかけるところ(ランナーの下)まで37ミリあります。
そのため、Bフックで指示をすると、Bフックはカン上4センチありますので、理論上は天井に擦ることになります。そのためにカン上3センチにするのです。
これは正しいやり方ですが、「セミ」とは言ったことはないのです。
カーテン業界のほとんどの人が知らない言葉ですが、それが日本を代表する住宅メーカーの縫製マニュアルになったかというと、川島織物(セルコンと合併する前)の住宅メーカーの担当営業員が住宅メーカーに教えたのです。
住宅メーカーの担当者は縫製の専門用語なんかは詳しくないので、川島織物が「カン上3センチのことをセミといいます」といえば、ひとつ専門用語を覚えたということでマニュアルになってしまったのです。
しかし、実は川島織物の社内用語だったのです。
すばらしき川島織物の営業力
大阪人が大阪弁が日本どこでも通じるように思っているのと同じように、川島織物も社内用語が日本どこでも通じると思っているのです。
以前に川島織物の偉いさんからメールがきたら、社内用語連発で意味がよくわからなかったのです。社内用語とは主にアルファベットで略している言葉が多く、メールにSSとかSPいっぱい書かれていて、こちらは理解できないのです。
また、4月から住宅メーカー担当部署と付き合っていくには川島織物セルコンの社内用語を勉強しなければならないのです。あかん。
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